天体の学習で代表的なものはといえば、大まかには太陽・月・星座の3つがあります。入試ではこれらに加えて金星や火星が出題されることもありますが、「最もていねいに学習しておく必要があるのは何か?」と問われれば、私は「地球」と答えます。
天体では『〇〇のように見える原因は地球が●●だから』のような話が非常によく出てきます。我々が生活するこの地球は、じつは自転や公転をする"乗り物"のようなものであり、我々はそんな"乗り物"に乗った状態で宇宙という景色を眺めています。ですから、太陽であろうと星座であろうと地球から観察する以上は、その観察結果に地球の挙動が影響してくるのは当然のことなのです。
自分(地球)のことをしっかり学ぶことで、相手(太陽など)がどのように見えるか等についての理解が一気に深まります。そういった意味では、今回の話は「天体における最重要テーマ!」と言えるかもしれませんね。
No.4 地球の自転 ※6分47秒の動画です
"北極側から見た地球の図(下記の図1参照)"は、太陽だけでなく月や星座の問題等でもよく用いられるものであり、地球上の各地点ごとに時刻と方位を正しく書き入れられるようになっておく必要があります。ただ、慣れていないうちはこの図だけでは理解しにくい点がいくつかあり、場合によっては生徒たちに誤解を与えてしまうことも少なくありません。
誤解の例としては「南を意味する矢印は、南ではなく頭上(天頂)を指しているのではないのか?」といったものや「0時の地点からも太陽が(北の空に)見えるのではないか?」のようなものがあります。
これらはいずれも『地球が球体である』という大前提を忘れていたり、正しい立体イメージが出来ていないことが原因です。
そこで、図2のような"赤道側から見た地球の図"を図1とセットで提示することで、正しい理解が得られやすくなります。
この図であれば、「12時に太陽が南の空に見える」ことも「0時に太陽は見えない(地面のウラ側に位置する)」ことも納得できると思います。
本来は立体であるものを、一方向から見た図だけで理解しようするのはかなり危険です。誤解とまではいかなくとも、あやふやな理解に終始してしまう可能性が高く、そのあとの天体学習に支障をきたしてしまいます。
内容が難しくなってくると、生徒だけでなく指導者もついつい立体図を避けて平面図に頼りがちになるのですが、せめて学習の最初期だけでも立体のイメージに触れておくことは極めて重要です。その上で、立体図がどうしても難しいと感じる子たちには、平面図的なアプローチを提示してあげるとよいと思います。
No.5 地球の公転 ※6分13秒の動画です
『〇〇カ月後の地球』を考えるような場面は、天体分野の問題では(頻出というほどではないですが)そこそこ見かけます。そのようなときに考える必要があるのが地球の公転です。
今回は昼の長さに注目して季節の変化について話しておりますが、じつは太陽の南中高度もそこそこ変化しており、季節による気温のちがいに大きく影響しているのは、昼の長さではなく南中高度のほうだったりします。
南中高度については次回以降にくわしく話していきますが、そのときにも重要になるのが"自転軸(地軸)の傾き"です。宇宙には、自転軸の傾きがほとんどない(ほぼ直立している)水星や、自転軸がほぼ横倒しになっている(約90度傾いている)天王星のような惑星も存在しており、それらと比べると地球の場合は"じつは丁度よいバランス"になっていると言えます。
興味のある方は「天王星における昼夜」について調べてみると面白いかもしれません。コチラ(国立科学博物館のHP)では図解もされているので比較的わかりやすいと思います。
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