[化学] 溶解度 フローチャート 【動画No.3-4】

 溶解度計算は水が主役。『水にとかせる最大量』を求める際に必要となるのが水温水量なので、これらを正確に追い続けることが何よりも重要です。しかし、さまざまな操作が加わって問題が長文になってくると、それが一気に難しくなります。そこで重要になるのが整理整とん、つまり「どのように手を動かして情報整理していくとよいか」ということです。

No.3 基本計算① ※4分15秒の動画です

『水にとかせる最大量』は、水温水量だけで決まる

 今後どれほどの難問に出会おうとも、溶解度計算で最も大切なポイントはこれです。とけ残る量を求める問題にせよ、追加でとかせる量を求める問題にせよ、必ず『水にとかせる最大量』を考えることになるからです。

No.4 基本計算② ※6分46秒の動画です

 フローチャート(流れ図)といえば、算数における"食塩水の計算"でよく使用される言葉です。算数は理科以上に操作が複雑になることが多いので、進学塾などでは算数指導の際にフローチャートを用いた整理の仕方を生徒たちに教えます。

 一方、理科の溶解度計算では、整理の仕方について何の指導もなされていないことが多いようです。しかし、レベルが上がるほど操作が複雑になるという点では理科も算数と同じですから、理科向けの整理方法(いわば溶解度版フローチャート)を身につけておくほうがよいと思います。私がオススメする書き方は次のようなものです(動画内の演習問題2を題材にしております)

 黒字部分がフローチャート。ようするに、問題文を図式化したものです。「水温を変化させる」等の操作を横向き(右方向)に書き表していくため、水やホウ酸の各種データはたてに並べています。上から水温・水量・ホウ酸量の順になっているのには理由があるのですが、それについて話すと少し長くなりますから、今回は省略させていただきます。

 赤字部分や青字部分は、計算を正確におこなうための補助のようなもの。『水にとかせる最大量』を求めるときに"水温をチェック(やグラフ等)から溶解度データをひろう水量にもとづいて比例計算"という作業工程が必要になりますが、その際に生じる可能性のあるミスをなくすためのものです。少しだけ左右にずらした位置に書いているのは、フローチャートの部分がごちゃつかないようにするためです。

 これは溶解度計算に限らず他の分野についても言える話なのですが、理科の計算系の問題は算数でいう『文章題』のような長文になることが多く、そのような問題に対しては解き方うんぬん以前に文章の精読、つまりは情報整理から始める必要があります。これは、長文慣れしていない生徒からすれば非常に高いハードルでして、読解途中で心が折れてしまうようなことも少なくありません。しかし、今回紹介したように、溶解度計算の場合はフローチャートを書くことで情報が整理ができますし、その他の分野、たとえば力学計算では文中の条件を図に書き入れていくうちに情報整理が完了します。はじめは"見よう見まね"でも構いませんから、手を動かしながら問題文を読むというスタイルを少しずつ身につけていくことが大切です。

 

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