溶解度計算の基本パターンの紹介は、ひとまず今回で終了です。これら以外の特殊なタイプの問題に出くわすこともあるにはあるのですが、そのような問題は入試においてはほんの一握り。標準的な入試問題の多くは基本パターンどおりの出題あるいはそれらの融合問題です。ですから、やみくもに練習するのではなく、整理の仕方を意識しながら基本パターンを1つ1つ習得していくことが大切です。
No.5 基本計算③ ※4分28秒の動画です
水温と水量を正確に追うことが重要な溶解度計算において、このあたりのレベルの問題になってくるとフローチャート(流れ図)による整理が絶大な効果を発揮します。この動画の演習問題を例にとると、実際に解くときや授業で解説する際は、次のようなフローチャートを書くとよいでしょう。
中央付近の黒字部分がフローチャート。つまり、操作の流れ(水温や水量の変化など)を整理したものです。整理部分がごちゃつくのを避けるために、溶解度データを用いた比例計算は左右に少しずれた位置で行うのがオススメです。同じ理由で、筆算を行う場合はさらに離れた位置の余白部分などを使用するとよいでしょう。
No.6 基本計算④ ※6分54秒の動画です
ここで注意しなければならないのが、問題文中にある「水溶液の重さ」という言葉です。問題によっては「溶液の重さ」や「ホウ酸水の重さ」と書かれる場合もありますが、これらはいずれも水とホウ酸の合計量を指しています。
「飽和ホウ酸水の重さ(水とホウ酸の合計量)がわかっている場合、どのようにしてホウ酸の重さ(あるいは水の重さ)を求めるのか?」というのがこのNo.6のテーマでして、以下のような2通りの解き方があります。
[解法1] まず、水が100gの場合を仮定
→ 合計量(水+ホウ酸)どうしを比べて、比例計算を実行!
[解法2] 飽和のときの成分比(水:ホウ酸)で、合計量を配分する!
個人的には[解法2]の、算数で学習する『比』を用いた解き方がオススメです。ただし、[解法2]を使いこなすにはある程度『比』に習熟していることが前提条件になりますから、そうでない生徒(特に小学6年生未満)は[解法1]で解くとよいでしょう。
なお、『比』を用いた配分計算(比例配分)の際に、動画内では①(イチマル)のような表し方を用いて解説しております。この解き方は、関西の大手進学塾であるH学園やN学園などの算数・理科でふつうに使用されている計算手法であり、①解法とよばれています。中学数学で学習するX(エックス)を用いた式と意味は同じですね。①解法を使わない場合は、次のような計算式を用いて求めることになります。
「比例配分」と言えば、このような分数を用いた計算式のみで解説されるのが一般的です。ただ、このような長い計算式に不慣れな生徒もいますから、そのような生徒には①解法で解説すると簡単に理解してくれることが多いです。数式を”言語的に理解”する手段としては、これ以上ないくらいに便利な計算手法と言えるでしょう。
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