[力学] てこ 支点決定法 【動画No.10-12】

 "力のモーメントを計算するときに、棒のどの位置を支点とみなしても構わない"。これは『支点決定法』などと呼ばれており、大手塾ではほぼ全ての受験生が学びます。このことを知らないと解けないような問題も少なからず存在するので、てこ計算をマスターする上での必須知識と言えます。

No.10 支点決定法① ※7分16秒の動画です

No.11 支点決定法② ※8分43秒の動画です

 ここで最も重要なのは"支点にはたらく力はモーメントがゼロになる"ということ。これを利用することで、問題中の様々な障害を乗り越えることが可能になります。
 ただ、解説を聞いたりしているときは理解できているつもりでも、いざ自分の力で解いてみるとうまくいかない…。このような生徒がじつは結構多いのです。『支点決定法』は答えを出せるかどうかに密接に関わってくる計算技術なので、これを不得意のままにしておくのはけたいところです。

 てこ計算でつまずきやすいテーマと言えば前回の『重さのある棒』が挙げられますが、棒の重さを書き入れる等の"手を使う"作業さえおこたらなければ難なくクリアできるものであり、そこまで"頭を使う"テーマというわけではありません。
 それに対し、『支点決定法』は自分の頭でしっかり考える訓練が重要であり、それを怠ると習得に時間がかかってしまいます。「ここを支点にするとどうなる?」「あっちを支点にすると、さっきと何がちがう?」などなど、自分の頭でアレコレと考えて試行さく誤を重ねていくことが一番の近道かつ何よりも確実な習得方法なのです。

No.12 支点決定法③ ※6分47秒の動画です

 動画内の問題はいずれもパッと見では簡単に解けそうに見えるかもしれませんが、実際はつまずく生徒が続出する"解けそうで解けないランキング最上位"の問題です。『実際の支点』にこだわり続けると行きづまってしまいますから、それとは別の位置に『計算上の支点』を設定しなおす必要があります。

 なお、支点決定法とモーメント計算を使用せずに比を使って解く方法もあり、これは計算処理を楽にしてくれる場合が多いので、塾などで教わった生徒の多くは好んで使用します。しかし、中途半端な理解のまま安易に使用すると、正しい答えが得られなかったりする場合も少なくありません。
 じつは、比を用いた解き方を本当の意味で習得するのは決して簡単なことではなく、たとえば今回のNo.10~12の動画内で使用した問題はすべて比で解くことも可能なのですが、そこまで出来る生徒は極めて少ないです。
 とは言え、ある程度正しく身につけることができれば強力な武器にはなるので、その解法についてはまた別の機会にくわしく紹介しようと思います。

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