力学の問題を解くときに常に注目すべき力という存在。これを"見える化(可視化)"したものが力の矢印です。力を矢印記号で表現して図に書き入れることで、力学というものを広く深く理解できるようになります。
No.3 下向きの力 ※5分08秒の動画です
類題なのに見た目が変わった途端に解けなくなってしまうという生徒は非常に多いです。自信の無さからくる「見たことがないからきっと自分には解けないタイプの問題だろうな…」という思い込みが原因である場合もあれば、「類題であることに気づいてはいるんだけど全く手が動かない…」なんていう場合もあります。
いずれにせよ解決にはある程度の演習量が必要です。演習を通して数多くの類題にチャレンジし、成功体験を積み重ねていくことが大切です。なお、数値を変更しただけのような単純な類題ばかりでなく、見た目にも変更が加えられた類題を織り交ぜて演習すると効果的です。
No.4 上向きの力 ※5分43秒の動画です
『上向きの力』によるモーメントは、てこの計算問題ではよく出題されるテーマの1つです。ここでの重要ポイントは回転方向に気をつけよう!ってことくらいなもので、解き方そのものは今までと全く同じです。じつは、ばねはかりの他にも様々なものが『上向きの力』として問題に登場してくるのですが、それらの紹介はまた次回以降にでも。
さて、ここからは前回の記事に引き続き"書き方"についてふれておこうと思います。私のオススメは次のようなものでした。
図中に回転方向と数値を書き入れて式を立てる、つまり 全てを図の中で完結させる。
このような書き方の実例を、動画内の例題を使用して紹介していこうと思います。まずは問題と解法部分(モーメントのつりあいの式)を簡潔にぬき出すと次のようになります。

20g×20㎝ + 15g×20㎝ = ?g×10㎝
このような"完成された状態"の式を記しただけの解説は多くの参考書や問題集などで見られますし、私自身も様々な場面でよく使用します。ただ、この書き方には式が作られるまでの過程が伝わりにくいという欠点があり、てこの計算に不慣れな生徒に対してはあまり効果的でない場合があります。
この問題が解けない場合、十中八九その原因は式にあります。大体は「書いた式が間違っている」もしくは「そもそも式が書けていない」のいずれかです。自力でこの式を作れないということは、なぜこのような式になるのかが完全には理解できていないわけです。そのような生徒に上記のような"完成された状態"の式だけを与えてもあまり意味がなく、極端な言い方をすれば答えを教えているのと大差がないと個人的には思っております。
式が完成するまでにはいくつかの手順を正確に踏んでいく必要があり、その途中で「いま自分が何をしているのか」が分からなくなってしまったりすると、大抵はもうそこでゲームオーバーです。だからこそオススメなのがすべてを図の中で完結させるという書き方です。

いかがでしょうか。見た目は"等式のカタチ"を成してはおりませんが、おこなっていることはモーメントのつりあいの式にもとづく計算です。この書き方ならばそれぞれの数値の意味などが理解しやすく、やっていることの意味を途中で見失うなんてことはほとんどなくなると思います。
大事なのは『まずは図に数値などの情報をドンドン書き入れていこう!』という姿勢です。感覚的には算数の図形問題を解くときのスタイルと近いかもれませんね。

その都度わかったことを図に書きこんでいきましょう。やがて問題の解決に必要な要素が全てそろい、ふと気づくといつの間にか式が立っているはずです。
なんて言うと「本当かよ!?」と思われるかもしれませんが、このような流れで大抵の問題が解決するということを、演習をとおして多くの生徒が実感できると思います。
なお、これは力学だけでなく物理分野全般(電気や音・光など)にあてはまる話でして、そういう点からも図の中で完結させるという書き方には早いうちから慣れておくほうがよいでしょう。
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