てこの計算問題で登場するモーメント(正確な呼び名は力のモーメント)という数量。モーメントとは何を意味するものなのか、そしてモーメントのつりあいの式とはどのような意味を持つ式なのか。
ついつい数値や計算手法にばかり目が行きがちですが、「やっていることの意味」を着実に理解しながら学習していくことが大切です。
No.1 計算の仕方 ※6分22秒の動画です
『左回り』VS『右回り』の構図を際立たせるために、これをまるで『2人の争い』のごとく表現するという"盛った"解説の仕方をしておりますが、ひとまずはこれでモーメント計算の意味を大まかに理解できるのではないかなと思います。
理科の中でも物理分野と化学分野は、最初のほうの原理原則を学んでいく過程がどうしても無機質なものになりがちです。そこで効果的なのが早い段階で具体例を用いること、そしてたとえ話などで"話を盛る"ことです。はじめのうちは多少の"厳密さ"をないがしろにしてでも"大ざっぱな理解"を優先するほうがいいと思います。
そんな私が初回で生徒たちに強調するポイントは次の2つです。
- 回転の方向(右回りなのか左回りなのか)を、正確に区別すること。
- モーメントを計算しているときは『回転させるはたらき』を数値化しているのだという意識を持つこと。
式を立てるときなどに"やっていることの意味"が理解できているのかどうかは極めて重要です。「いま自分が何をしているのか」に対する理解が不十分だと、やがて問題のレベルが上がって複雑化したときに、途中で混乱したり式を間違えたりすることがどうしても多くなってしまいます。
No.2 計算の仕方② ※6分40秒の動画です
おもりが増えたことで争い合っている人の数が増えました。これをあえて表現するならば『左回り勢力』VS『右回り勢力』みたいな言い方になるでしょうか。おもりが増えてもやることはほとんど変わらないのですが、ミスする生徒や混乱する生徒がちらほら現れはじめます。
この動画で大体は解決できると思うのですが、これに付け加えて意外と大切なのが書き方だったりします。そこで、具体例をまじえながらオススメの書き方を紹介しておきます。
この動画の例題で取り上げた問題とその解法部分(モーメントのつりあいの式)だけをぬき出すと、次のようになります。
てこの計算に習熟している生徒であればこのような書き方でOKなのですが、これが初学段階の生徒の場合、私は「やっていることの意味を本当に理解して式を立てているのかな?」と感じてしまうことがあります。とりわけ基本問題は構造が単純すぎるがゆえに"見よう見まね"をしているだけでなんとなく正解にたどりついてしまうことも多いですから。
では、次のような書き方であればどうでしょう。
モーメントのつりあいの式が持つ意味、『左回り勢力』と『右回り勢力』の対決→引き分けという流れがはっきりと見えやすいのではないかなと思います。
図中に回転方向と数値を書き入れて式を立てる、つまり 全てを図の中で完結させる。
この書き方であれば"やっていることの意味"を理解しながら式を立てることが容易になるので、特に初学段階における学習効果が非常に高いと思います。
また、複雑な高難度の問題を解くときに「いま自分が何をしているのか」が分からなくなってしまうこと等によるミスや混乱を防ぐことができますから、テストを受ける際の実戦的な書き方としてもオススメです。
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